まちゃひこのシアタールーム

ブログ「カプリスのかたちをしたアラベスク」の別館。映画の話をするよ!

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愛して飲んで歌って(アラン・レネ監督)――主人公の「死」という砂時計

Hatena Feedly

いやはや、疲労がガッツリ溜まっていたせいか、今週は仕事でミスを連発してかなり凹んでました。というわけで今週は楽しい映画を観る!と決心して、週末を迎えたのですが、なんだか喉が痛い・・・。お休みの日に風邪とかもうサイアクです。

 

どーでもいいことですが、ぼくはお休みの日は、平日よりも早く起きます。

ほんとうは平日にやりたかったアレやコレをやる時間を取り戻そうとするとそうなってしまうのですが、だからといってはかどるわけでもなく、小説を書こうとしても3時間かけて2行くらい書いた!とかですごく効率が悪い。いや、そもそも効率の問題じゃないのだけど、アレやコレをやるには、絶対的に時間が足りていない。そう強く思います。

小説を書きたいし、読書もしたい、アニメもみたいし、廃墟めぐりもしたい、ブログも書きたい・・・。

これら全部をやるためにはどうしたらいいんすかね。

というわけで、今週は映画「愛して飲んで歌って」を観てきましたので、そのレビューをしたいと思います。

愛して飲んで歌って [Blu-ray]

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※以下、多少のネタバレを含みます。

 

 

あらすじ

ジョルジュの余命が半年だと知った、友人の夫婦2組と家出中の妻は、彼の人生の最後を充実したものにしようと画策、戯曲への出演をジョルジュに促す。しかし、どうやら女たちはジョルジュと関係を持っているらしく、かれらが公演を予定している舞台が終わったあくる日に「旅行へいかないか?」と片っ端から声をかけているらしい。

女たちのバトル、うろたえる男ども、そしてジョルジュ最後の瞬間はいかに!?

 的な感じです。

 

 

作品について

アラン・レネ監督の遺作、らしい。

前に「風にそよぐ草」の感想を↓

 

の記事で軽く書いたのですが、今回の映画も同様のユーモアを感じる作品でした。

この映画、なにがおもしろいって、もうなんか徹底して「ホームドラマ」みたいな作りというか、戯曲(舞台)そのものみたいな構成であり演出をしているという所です。撮影はぜんぶ屋内のセットだろうし、細かいカット割りを多く使うのでなく、ロングカットがおおかった気がする。スクリーンで見ると、登場人物たちが対話をしている画はとても絵画的な印象を受け、シーンごとにしっかりつくりこんでいるな、と感じました。

そして、物語構成、これがなんといってもおもしろい!

この映画に、「ジョルジュ」は出てきません。物語の中心人物は終始登場人物たちの話題の中心にいながら一度もその姿を見せないため、この映画はどことなく「物語性」が希薄で、瞬間瞬間のシチュエーションしかない。

物語とはなにか――ぼくはいちいちなにかを定義するのは避けたいので、今日もやっぱりいうことはないのだけれど、この映画を「物語」とするものがあるならば、それは「ジョルジュ」という主人公と、彼の「死」という砂時計以外にはありえないだろう。劇中のエピソードはすべてジョルジュの生と死を引き金に生じている。主人公が姿を見せないのはかれがいないからではなく、この「物語」じたいが、彼の所有する世界そのもの、みたいな感じになっていて、ある意味この映画では「主人公=神」のような、そんな立ち位置となったようにおもう。

 

この感じ、思い出すのは、フランスの作家ジョルジュ・ペレックの「煙滅」という小説です。

煙滅 (フィクションの楽しみ)

煙滅 (フィクションの楽しみ)

 

「e」を使わないフランス語で書かれた小説(もっといろいろルールがあるのだけど)、として有名なこの作品では、主人公のアッパー・ボンが行方不明になる。そして彼を探せ!となるのだけれど、不在の人物が話題にのぼるのは、小説や映画にとってはかれらが不在であることの意味にはならないような気がする。

語られる、ということはかれらはそこにいる。すくなくとも、いないひと、として存在しているとぼくは考えます。そういう抽象化された存在の有り無しを考えるのは無意味に思えるかもしれないけれど、すくなくとも、そう思うひと個人の認識は間違いなくそう思わないひとのそれとは変わってくるし、フィクションの想像力ってそういうところにあるんじゃないかなぁって。

 

今回の「愛して飲んで歌って」で、登場人物たちは、映画には映っていないところでジョルジュとコミュニケーションをとっている。そのため、ジョルジュの不在を感じているのは、観客であるぼく(ら)でしかない。なんとなく、ぼくは死んだジョルジュになってあの世から観る、この世の話みたいだとおもった。

死者だけが観れる風景。だけど、その風景はかなしいものなんかじゃない。

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